療養泉の分類・特徴・適応症(効能)を温泉ソムリエが解説!

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温泉(hot spring)とは?温泉ソムリエが解説!の記事で温泉療養泉の定義について解説いたしました。
温泉は、リラックスや癒しの場としてだけでなく、健康増進や治療効果を求める人々にも利用されています。特に「療養泉」と呼ばれる温泉は、適応症(効能)が認められる温泉のため、特定の成分や効果により、健康や美容に優れた効能があります。本記事では、療養泉の分類とその特徴、適応症について詳しくご紹介します。

療養泉の分類・特徴・適応症(効能)

日本の温泉法に基づき、療養泉はその成分や温度によりいくつかの種類に分類されます。以下に主要な分類とその特徴を示します。

療養泉は、「単純温泉」「塩類泉」「特殊成分を含む療養泉」の3パターンに分けられ、さらに含有成分ごとに全10の種類に分けることができます。

以下の情報は環境省で提示されている資料をわかりやすく整理してご紹介いたします。
※出典:環境省「鉱泉分析法指針」(https://www.env.go.jp/nature/onsen/pdf/2-5_p_14.pdf

※ 各温泉には記のような「飲泉」による効能が認められておりますが、保健所による「飲用」の許可をされていない場合が多いので注意ください。

パターン①:単純温泉
1.単純温泉

● 基準:温泉水1キログラム中の溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000ミリグラム未満で、湧出時の泉温が25℃以上のもの。このうちpH8.5以上のものを「アルカリ性単純温泉」と呼ぶ。

● 特徴
 ー 肌触りが柔らかく、癖がなく肌への刺激が少ない
 ー アルカリ性単純温泉は、入浴すると肌が「すべすべ」する感触がある

泉質別適応症自律神経の乱れ、不眠症、抑うつ状

パターン②:塩類泉
2.塩化物泉

● 基準:温泉水1kg中に溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が塩化物イオンのもの

● 特徴
 ー 陽イオンの主成分により、ナトリウム-塩化物泉、カルシウム-塩化物泉、マグネシウム-塩化物泉などに分類される
 ー 日本では比較的多い泉質
 ー 塩分が主成分となっているので、飲用すると塩辛い
 ー 塩分濃度が濃い場合やマグネシウムが多い場合は苦く感じられる

● 泉質別適応症
 ー 浴用きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
 ー 飲用萎縮性胃炎、便秘

3.炭酸水素塩泉

● 基準:温泉水1kg中の溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンのもの

● 特徴
 ー 陽イオンの主成分により、ナトリウム-炭酸水素塩泉、カルシウム-炭酸水素塩泉、マグネシウム-炭酸水素塩泉などに分類される
 ー カルシウム-炭酸水素塩泉からは、石灰質の温泉沈殿物、析出物が生成されることがある

● 泉質別適応症
 ー 浴用:きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症

4.硫酸塩泉

● 基準:温泉水1kg中に溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が硫酸イオンのもの

● 特徴
 ー 陽イオンの主成分により、ナトリウム-硫酸塩泉、カルシウム-硫酸塩泉、マグネシウム-硫酸塩泉などに分類される

● 泉質別適応症
 ー 浴用:きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
 ー 飲用:胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘

パターン③:特殊成分を含む療養泉
5.二酸化炭素泉

● 基準:遊離二酸化炭素1000mg/kg以上

● 特徴
 ー 入浴すると全身に炭酸の泡が付着して爽快感がある
 ー 飲用すると炭酸の爽やかなノドごしが楽しめる
 ー 日本では比較的少ない泉質で俗に「泡の湯」とも呼ばれる

● 泉質別適応症
 ー 浴用:切り傷、末梢循環障害、冷え性、自律神経

6.含鉄泉

● 基準:総鉄イオン20mg/kg以上

● 特徴:温泉が湧出して空気に触れると、鉄の酸化が進み赤褐色になる。

● 泉質別適応症
飲用:鉄欠乏性貧血症

7.酸性泉

● 基準:水素イオン1㎎/kg以上

● 特徴
 ー 口にすると酸味がある
 ー 殺菌効果あり
 ー ヨーロッパ諸国ではほとんど見られない泉質だが、日本では各地でみることができる

● 泉質別適応症
 ー 浴用:アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿

8.含よう素泉

● 基準:よう化物イオン10㎎/kg以上

● 特徴:温非火山性の温泉に多く、時間がたつと黄色く変色する

● 泉質別適応症
飲用:高コレステロール血症

9.硫黄泉

● 基準:総硫黄2mg/kg以上

● 特徴:硫黄型と硫化水素型に分類され、日本では比較的多い泉質。タマゴの腐敗臭に似た特有の臭いは、硫化水素によるもの。

● 泉質別適応症
浴用:アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型については、末梢循環障害が加わる) 飲用:耐糖能異常(糖尿病)、高コレステロール血症

10.放射能泉

● 基準:ラドン30×10-10 Ci=111Bq以上(8.25 マッヘ単位以上)

● 特徴:放射能というと人体に悪影響を及ぼすと考えられがちだが、レントゲン等の放射線量よりずっと少ない量となる。ごく微量の放射能は、むしろ人体に良い影響を与えることが実証されている。

● 泉質別適応症
浴用:高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など

療養泉の選び方

温泉はその成分や効能によって効果が異なります。自分の体調や症状に合った温泉を選ぶことで、より効果的な療養が期待できます。

  • リラックスしたい: 単純温泉泉や炭酸泉が適しています。
  • 肌トラブルを改善したい: 硫黄泉や塩化物泉がおすすめです。
  • 冷え性を改善したい: 塩化物泉や二酸化炭素泉が効果的です。
  • 血行を促進したい: 炭酸泉や硫酸塩泉が良いでしょう。

まとめ

療養泉は、その成分や効能により様々な健康効果をもたらします。自分の体調や目的に合わせて適した温泉を選び、健康と癒しを同時に手に入れることができます。温泉地を訪れる際には、ぜひ療養泉の特性を理解し、効果的な温泉浴を楽しんでください。

皆さんの温泉体験が、より充実したものになりますように。次回の温泉旅行では、療養泉の効果を最大限に活用して、心身ともにリフレッシュしてください!

最後までお読みいただきありがとうございました!

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